前回は、下肢静脈瘤とはどんな病気か、種類やセルフチェックについてお伝えしました。
今回は、「どんな人がなりやすいのか」についてお話しします。
ご自身が当てはまるかどうか、確認してみてください。
立ち仕事・座り仕事の方

美容師、調理人、販売員、学校の先生など、長時間立ちっぱなしで過ごすお仕事の方は、下肢静脈瘤になりやすいことが知られています。
それは、前回お伝えした通り、脚の筋肉のポンプ作用が働きにくくなり、静脈内の圧力が高い状態が続いて静脈弁に負担がかかるからです。
一方で、デスクワークなど長時間座りっぱなしの姿勢の方も、同じ理由で血流が滞りやすくなります。
「立ちっぱなしより座りっぱなしの方が安心」というわけではなく、どちらも同じ姿勢が長く続くことがリスクになります。
そのような中でもなる人とならない人がいて何が違うのでしょうか。

遺伝(ご家族に静脈瘤の方がいる)
遺伝子そのものが直接関与しているかどうかは、まだはっきり分かっていません。
しかし、家族に下肢静脈瘤の方がいると、なりやすい傾向があることは分かっています。
血管自体の丈夫さなどの体質の遺伝もそうですが、同じ生活環境で過ごしてきた影響もあるのかもしれません。
「親も脚の血管が浮き出ていた」という方は、気にかけておいた方が良いかもしれません。
ちなみに両親ともに下肢静脈瘤がある方は、90%もの確率で発症する、という報告もあります。
妊娠・出産
妊娠中は、十分な栄養や酸素が必要なため、妊娠前と比べると血液量は約40%増えます。
それに加え、ホルモンの影響で血管が広がりやすくなります。
また、大きくなった子宮が骨盤内の静脈を圧迫し、足からの血流が心臓へ戻りにくい状態となり、血液が足に滞りやすくなります。
このような結果、足の血管内の圧力が上がり血管や静脈弁に負担がかかってしまい、静脈弁不全や血管の拡張の原因となることがあります。
妊娠回数が多いほど、下肢静脈瘤のリスクが高まるとされています。
出産後に自然に軽快することもありますが、そのまま残ってしまうケースも少なくありません。

加齢
年齢を重ねるにつれて、血管の壁自体の弾力性が失われて徐々に衰えていきます。
そのため、血液による圧力にも弱くなり、加齢とともに下肢静脈瘤の頻度は高くなります。
肥満
運動不足になると、ふくらはぎの筋力も徐々に衰えていきます。
その結果、筋力による血管のポンプ作用が弱くなり、血液が足に滞って静脈弁に負担がかかってしまいます。
また、脂肪が増えることでお腹の中にかかる圧力が高まり、足からの血流が心臓へ戻りにくくなることも重なります。
このような理由から、下肢静脈瘤を発症しやすくなります。
気をつけたいこと、予防
これらの要因に当てはまるからといって、必ず下肢静脈瘤になるわけではありません。
ただし、リスクが高い方ほど、以下のような日常的な工夫が予防・進行予防に役立ちます。
長時間同じ姿勢を取らないこと。
立ちっぱなしが一番よくないのですが、座りっぱなしで同じ姿勢で作業をする場合も1時間に1回は休憩をし、足踏みをする、足のマッサージをして血液の滞りを解消することは効果的です。
運動習慣をつけること。
運動することにより血液の循環が良くなります。
特にふくらはぎを鍛えることで血管のポンプ作用も強くなり血液の循環が良くなります。
また、先ほどのお話のように肥満を解消することは下肢静脈瘤の予防や悪化につながります。

他には弾性ストッキングの着用があります。
医療用の弾性ストッキングは足首から強い圧が段階的にかかるように設計されており、それにより血管の拡張や血液逆流を防ぎます。
着用することにより血流の改善が望めます。
