まずは食事と運動が大切
血圧のコントロールは、まずは毎日の生活習慣が大きく関わっています。
特に大切なのは「食事」と「運動」についてです。

食事のポイント
- 減塩を意識する(目標は1日6g未満です、正直難しいと思いますが意識するだけでも違います)。
塩分のかわりに、だしや香辛料、酢などの調味料を活用すると薄味でも満足感が出ます - 野菜や果物からカリウムを摂る。
カリウムは塩分の排出を助けます。
ただし腎臓の機能が低下している方はカリウムが上がりやすいため逆に注意が必要です。
腎臓の数値が悪いと指摘されたことのある方は、逆に危険な場合があるためご相談ください - 加工食品やインスタント食品、外食では塩分が多くなりがちなので、頻度を見直す
例えば、朝食を「食パン+バター、ハムエッグ、干物、味噌汁」から「ご飯、目玉焼き、野菜、ヨーグルト、果物」に変えるだけでも、塩分を減らせます。
麺類を食べる際はスープを半分残す、外食では「塩分控えめ」を選べるお店を選ぶなど、意識して小さな工夫をする積み重ねが効果的です。
運動のポイント
- ウォーキングなどの有酸素運動を、1日30分程度・週150分位以上を目標に(けれど続けられる目標に)
- 1回の激しい運動よりも、無理なく続けられる方が長期的には効果的です
- 血圧が非常に高い状態での急な運動は逆に負担になることもあるため、まずは現在の数値を確認してから始めるのがおすすめです
「わかってはいるけれど続かない」という声をよく伺います。
生活習慣の見直しも含めて、無理のない範囲から一緒に考えていきますので、気軽にご相談ください。
放置するとどうなるか

高血圧では、徐々に血圧が高くなってきたため自覚症状がほとんどないまま進行することがあります。
ある時測ってみると血圧が高いことが分かることがあります。
その期間が長いと、動脈硬化も進んでいて、ある日突然脳卒中や心筋梗塞などの重篤な病気を発症することがあります。
高血圧は別名「サイレントキラー」とも呼ばれています。
長期間にわたり血管に負担がかかり続けると、動脈が傷ついて将来的に心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高まることが知られています。

「症状がないから大丈夫」と思わず、早めに向き合うことが将来の安心につながります。
「薬は一生飲み続けるものですか?」という不安
診察の中で、よく聞かれるご質問です。
結論からお伝えすると、一生飲み続けることが決まっているわけではありません。
生活習慣の改善によって血圧が安定し、お薬を減らしたり、中止できたりする方もいらっしゃいます。
一方で、加齢や体質によって、お薬でのコントロールが体への負担を減らす最も確実な方法である場合もあります。
大切なのは、「一度始めたら一生やめられない」と不安に思いすぎず、数値の経過を見ながら調整していくことです。
自己判断で急に薬をやめてしまうと、逆に血圧が急上昇し、心臓や血管に負担がかかることもあるため、変更したい場合はご相談ください。
受診の目安
以下のような場合は、早めのご相談をおすすめします。
- 家庭血圧が135/85mmHgを複数回上回る
- 頭痛、めまい、動悸などの症状を伴う
- ご家族に高血圧や心血管疾患の方が多い
- すでに他の生活習慣病(糖尿病、脂質異常症など)がある
診療の流れ
まずは、問診で普段の生活習慣や家庭血圧の記録を確認したうえで、必要に応じて血液検査や心電図などの検査を行い、一人ひとりの状態に合わせた治療方針をご提案していきます。
生活習慣の見直しから始める方も多く、無理のない形で一緒に取り組んでいきますので、気になる方はお気軽にご相談ください。
血圧は、体からの大切なサインです。
まずはご自宅での正しい測定を習慣にし、数値に不安がある場合は早めにご相談ください。
余談:世界の高血圧の基準
高血圧の基準は世界共通ではありません。
アメリカでは130/80mmHg以上を高血圧と診断しており(AHA/ACC, 2025)、日本の基準(140/90mmHg以上)より厳しめです。
これは、年齢に関係なく、上の血圧が130mmHgを超えるあたりから、脳卒中と心筋梗塞がグッと増えることがこれまでの研究で分かっているからです。
日本でも2025年に改定された最新のガイドライン(JSH2025)では、高血圧の診断基準そのものは140/90mmHgのまま据え置かれましたが、治療でどこまで血圧を下げるかという目標値は、年齢を問わず130/80mmHg未満に統一されました。
世界的に見ると、アメリカの基準は厳しいと言えるかもしれません。
基準の数値だけにとらわれず、ご自身の血圧の推移を知っておくことが大切です。